主なポイント:
- 中国の工業生産は1~5月に前年比5.4%増加、1~4月の5.6%から減速
- 累計成長率の年内初の低下は、安定傾向の反転を示す
- 工場活動の弱まりは、北京への追加刺激策実施圧力を高める
主なポイント:

中国の工場生産伸び率は2026年1~5月に減速し、世界第2位の経済大国における勢いの弱まりを示した。
中国の工業生産は1~5月期に前年同期比5.4%増加し、1~4月の5.6%から減速したと国家統計局が発表した。この数値は、4月まで横ばいで推移していた累計成長率が年内で初めて低下したことを示す。
5.4%というベースは依然として北京の年間GDP成長目標である約5%を上回っているが、縮小する差は製造業活動が勢いを失いつつあることを示唆している。工業生産は中国経済の約3分の1を占め、経済全体の健全性を示す重要な指標である。0.2ポイントの減速は小幅ながら、1~4月に見られた安定化の流れを反転させ、回復がその勢いを維持できるか疑問を投げかけている。
この減速は、弱い経済指標が相次ぐ中で追加刺激策を求める声が強まっている状況下で起きた。中国の消費者物価指数(CPI)はここ数カ月ゼロ近辺で推移しており、中国人民銀行(PBoC)の緩和的な姿勢にもかかわらず、信用拡大は伸び悩んでいる。中央銀行は過去1年間、回復を支援するために政策金利の引き下げと預金準備率の引き下げを実施してきたが、実体経済への波及は依然として不均一である。広義の信用指標である社会融資総量は低い伸びにとどまっており、家計と企業の両方からの借り入れ需要が低調であることを反映している。
世界の投資家にとって、中国の工場生産の弱まりはコモディティ市場にリスクをもたらす。中国は銅と鉄鉱石の世界消費の半分以上を占めており、工業活動の持続的な減速は非鉄金属価格の重しとなり得る。オフショア人民元(CNH)は成長見通しの悪化に伴い減圧圧力に直面しており、中国エクスポージャーのある新興国株式も売り圧力にさらされている。
このデータはまた、北京に対してより積極的な刺激策を実施する圧力を強めている。エコノミストは、PBoCが今後数カ月の間に1年物最優遇貸出金利(LPR)の追加引き下げや預金準備率の引き下げを検討すると予想している。財政政策の役割も大きくなる可能性があり、インフラ支出の増加や、工業需要の重しとなっている不動産セクターへの追加支援が行われる可能性がある。
次の重要なデータは、7月1日に発表予定の6月の財新製造業購買担当者景気指数(PMI)であり、中国の輸出志向型民間セクターにおける工場の状況をよりタイムリーに把握することができる。50を下回ると景気縮小を示し、北京からの政策対応が加速する可能性が高い。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではありません。