5月初旬、イーサリアムのステーキングエコシステムの重要な指標が赤信号を灯しました。過去最高水準の分散型金融(DeFi)脆弱性攻撃の波がリスクの高いプロトコルからの資金逃避を引き起こし、バリデーターの退出キューが2週間で72,000%も膨れ上がりました。ステーキングされたイーサ(ETH)を出金するための待ち行列は5月3日に433,158 ETHでピークに達し、バリデーターがポジションを解消するまでに7日間の待ち時間が発生しました。
オンチェーンアナリストのCheckmatey氏はX(旧Twitter)で、「資金があらゆる形態の『DeFi』から流出している。リスクが資本回収不能(zero return OF capital)の方に大きく傾いているからだ」とコメントし、新しいリステーキングプラットフォームのリスク・リターン・バランスを再評価する投資家心理を要約しました。
出金の急増は、プロトコルのハッキングによる歴史的な損失の月と重なっています。セキュリティアナリストによると、4月には30件の独立した事件で計6億2,500万ドル以上の資金が盗まれました。特にリキッド・リステーキング・トークン(LRT)、クロスチェーンブリッジ、貸付市場が攻撃の矢面に立たされました。4月18日には、リステーキングプラットフォームKelpDAOのブリッジで単一の脆弱性攻撃が発生し、116,500 rsETHが流出しました。LayerZeroはこの攻撃を北朝鮮の「ラザルス(Lazarus)」によるものとしています。この事件後、貸付プロトコルAaveの預かり資産は458億ドルから286億ドルに減少しました。CryptoQuantのデータによると、事件後の72時間で226,000 ETHが中央集権型取引所のウォレットに流入しており、売却の意図を示唆しています。
現在の価格で12億ドル以上に相当する出金の急増は、イーサリアムのネイティブトークンにとって潜在的な売り圧力となります。しかし、この弱気なシグナルがすべてではありません。validatorqueue.comのデータによると、約108億ドル相当の360万 ETHという、はるかに大きな行列がステーキングシステムへの参入を待っています。この参入キューの待ち時間は62日間で、退出キューの約7倍の規模に達しています。
この乖離は、現在の動きがステーキングそのものからの構造的な撤退ではなく、資金の「ローテーション(入れ替え)」であることを示唆しています。投資家は脆弱性が露呈したリステーキングプラットフォームのような複雑でリスクの高いDeFiプロトコルからは資金を引き揚げていますが、ベースとなるイーサリアムステーキングに対しては依然として大きな需要を示しています。ステーキングされたイーサの総量は3,860万枚(総供給量の31.72%)で安定しており、年間利回りは約2.92%です。脆弱性攻撃の波が収まれば、キューの不均衡から見て、資金は広範なイーサリアムエコシステム内に留まる可能性が高いと考えられます。
この記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではありません。