重要ポイント:
- アジア通貨は対ドルで下落、米イラン間の新たな緊張が安全資産需要を喚起
- ドルは年1月以来の月間上昇率ペース、米5年債利回りは60bp超上昇
- 新興国中央銀行は緩和に慎重姿勢、ドル高が政策の柔軟性を制約
重要ポイント:

中東の地政学リスクが安全資産への逃避を促し、ドル高進行の中でアジア通貨を押し下げている。
月曜日、米イラン間の新たな軍事応酬が安全資産需要を喚起し、タカ派的なFRBからの圧力も重なり、大半のアジア通貨が対ドルで下落した。
「中東情勢の緊迫化とFRBのタカ派姿勢の組み合わせは、新興国通貨にとって強力な逆風となる」と、フィデリティ・インターナショナルのポートフォリオ・マネージャー、フィリップ・フィールディング氏はロンドンで指摘した。
ドルはこのまま年1月以来の月間最高パフォーマンスとなる見込みで、米5年債利回りはイラン紛争勃発前の水準を60ベーシスポイント以上上回っている。ブレント原油は1バレル約71ドル付近で取引されており、紛争時のピークからは低下したものの、石油輸入に依存するアジア経済には依然として圧力を与える水準にある。
今回の地政学リスクの再燃は、今月初めの米イラン和平合意による値を戻しを打ち消す恐れがある。投資家は長期化する不確実性の高まりを織り込み始めており、新興アジアからの資金流出とドル建て資産への流入が続く可能性がある。
新興国市場への二重のショック
今回のエスカレーションは4日連続の緊張激化となり、米国とイランが直接的な脅威を交わす中、サウジアラビアやアラブ首長国連邦などの湾岸同盟国がイラン領空から発射されたとみられるドローンを迎撃したと報じられている。世界の石油貿易の約21%が通過するホルムズ海峡は、供給途絶の可能性がある焦点地域として引き続き注目されている。
地政学ショックは、米イラン暫定和平合意後にエネルギー価格の下落から新興国債券が恩恵を受け始めた矢先に発生した。ゴールドマン・サックス・グループのストラテジスト、カマクシャ・トリヴェディ氏とダニー・スワナプルティ氏らは6月18日のリポートで、「新興国の現地金利は今や新たな敵、すなわちタカ派的なFRBと対峙している」と指摘し、主要リスク要因が石油市場から米金融政策へと移行したと述べた。
米5年国債利回りと新興国債券の相関関係は今四半期に急上昇している。ラテンアメリカ債券との30日ローリング相関は2月末の0.10から0.49に上昇し、欧州中東アフリカ新興国との相関は0.03から0.43に上昇した。アジアでは、同相関は0.04から0.09に小幅上昇した。
中央銀行は緩和に慎重姿勢
ドル高により、新興国中央銀行は金融緩和のシグナル発信に慎重になっており、現地通貨建て債券の上昇余地が制限されている。シティグループのストラテジスト、ルイス・コスタ氏率いるチームは6月18日、「中央銀行は安心シグナルを発信することに慎重な姿勢を続ける見込みで、これにより新興国現地通貨のリスクプレミアムが高止まりする可能性がある」と指摘した。
トルコやコロンビアなど、海外からの資金流入への依存度が高い国々は、金融環境が全般的に引き締まる場合の脆弱性が最も大きいと、フィールディング氏は述べた。
しかし、米金利上昇が必ずしも新興国資産クラスを頓挫させるわけではないと見る投資家もいる。「金融引き締めが成長力の強さを反映しているのであれば、新興国現地通貨建て債務への影響は総じて良好であり続けるだろう」と、MFSの債券ポートフォリオ・マネージャー、ワード・ブラウン氏は述べた。
米イラン和平合意の持続性は引き続き重要な変数である。緊張の緩和が持続すれば原油価格の抑制に寄与し、中央銀行による緩和の余地が維持される一方、紛争が再燃すればこれらの利得は急速に失われる可能性がある。「和平合意の耐久性はまだ確実ではなく、引き続きヘッドライン主導で双方向の変動が市場で生じると予想している」と、アムンディのシニア新興国ポートフォリオ・マネージャー、ハカン・アクソイ氏は述べた。
投資家は現在、地政学リスクとタカ派FRBという二重のショックが域内経済にどのような影響を及ぼしているかを探るため、中国の製造業PMI発表や、インドネシア、韓国、ポーランド、トルコのインフレ報告に注目している。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではない。