主なポイント:
- 日銀は6月16日、政策金利を1995年以来の高水準となる1%に引き上げ
- 高齢の預金者は恩恵を受ける一方、変動金利型住宅ローンの利用者は負担増
- エコノミストの約90%が12月までに追加利上げを予想
主なポイント:

日銀は31年ぶりに政策金利を1%に引き上げ、さらなる引き締めを示唆した。これは経済全体における勝ち組と負け組の格差を拡大する画期的な転換点となる。
日銀は6月16日(火曜日)、短期政策金利を0.75%から1%に引き上げた。これは1995年以来の高水準であり、借入コストが30年ぶりにその水準に達したことを意味する。決定は7対1で可決され、浅田統一郎審議委員が反対した。植田和男総裁は医療措置のため入院して不在となり、投票は行わず、内田真一副総裁が政策メッセージを伝えた。
「基調的なインフレ率が2%に近づく中、上振れリスクを注視する必要がある。我々はカーブに遅れを取らないよう政策運営を行う」と内田氏は記者会見で述べた。日銀は、中長期的なインフレ期待が上昇し続けており、基調的なインフレが2%目標を上回って乖離するリスクが生じていると述べた。
また日銀は、2027年4月から国債買い入れテーパリングを休止し、日本国債の月間購入額を約2兆円(125億ドル)で継続することを決定した。5月の国内企業物価上昇率は6.3%に達し、3年ぶりの高水準となった。中東情勢の緊張に伴うエネルギーコスト上昇を企業が価格転嫁したためだ。円は決定後も1ドル=160円前後ではほぼ横ばいで推移した一方、日経225平均株価は投資家が日銀の追加利上げは当面ないと判断し、史上最高値を更新した。
今回の利上げは、日銀が数十年にわたる超緩和的な金融政策から脱却する上で最も積極的な一歩となるが、その効果は不均等に分布する。ブルームバーグの調査によると、エコノミストの約90%が12月までに追加利上げを予想しており、内田氏がインフレ上振れリスクを強調したことは、日銀が市場にその可能性を準備させていることを示唆している。
預金者は恩恵、借り手は負担増
みずほリサーチ&テクノロジーズの試算によると、預金からの追加利息収入は、家計の借入コスト増加分を年間約1兆円(63億ドル)上回り、1世帯あたり平均で約2万円(126ドル)の純利益になるとみられる。三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行は6月16日、8月3日から普通預金金利を0.3%から0.4%に引き上げると発表した。これは日銀が2024年3月にマイナス金利を解除する前に提供していた0.001%の400倍にあたる。
しかし、この恩恵はより多くの金融資産を保有する高齢世帯に集中する。若年層の借り手はより高いコストに直面する。特に、日本の住宅ローン利用者の約80%が利用する変動金利型ローンが影響を受ける。ある日本の住宅ローン比較サービスの試算によると、3,500万円の変動金利住宅ローン(35年返済)の場合、適用金利が1.25%に上昇すると月々の返済額は5,900円(37ドル)増加し、147,043円(923ドル)となる。
企業も影響を受ける。みずほリサーチは、非製造業の経常利益が約1%(1.1兆円、69億ドル)減少し、資本金1,000万円未満の企業では6.6%の利益減少に直面すると試算している。
国境を越えた波及効果
今回の利上げにより、日本と韓国(韓国銀行の政策金利は2.5%)との金利差は縮小する。円高は韓国の食品・消費財企業の日本子会社にとって輸入マージンを改善する一方、日本企業が円安により享受してきた輸出競争力の優位性を低下させる。日銀が年末までに追加利上げを実施するとの市場予想が実現すれば、金利差はさらに縮小する可能性がある。
日銀とイングランド銀行(4月30日に8対1で政策金利を3.75%に据え置くことを決定)の divergent な政策経路は、GBP/JPY(ポンド円)にも圧力をかけている。日銀の決定を受けて円が強含み、この通貨ペアにおけるキャリー・トレードのポジションを脅かしている。
前回、日銀が金利を1%に引き上げたのは1995年9月で、日本がバブル崩壊の余波から立ち直りつつある時期だった。今回は状況が逆転している。中央銀行は過熱する経済を冷ますためではなく、インフレを抑制するために引き締めを行っているのだ。野村証券のストラテジスト、岩下真理氏は、もし夏頃にインフレが上振れすれば、日銀は早ければ10月にも再び利上げする可能性があると述べた。そうでなければ、12月の利上げが基本シナリオとなる。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではありません。