主なポイント:
- ジェームズ・フォン・モルトケ氏、7年間の再建を経て6月にドイツ銀行を退社
- 元CFOは他金融機関での最高経営責任者(CEO)就任を模索
- 同氏の退任は、ドイツ銀行を記録的な利益に復活させた立役者の喪失を意味する
主なポイント:

ドイツ銀行再建の立役者、ジェームズ・フォン・モルトケ氏は6月に同行を退社し、CEO就任を模索している。
3月にドイツ銀行(Deutsche Bank AG)の最高財務責任者(CFO)を退任し、今月社長職を離れるジェームズ・フォン・モルトケ氏は、ドイツ最大の銀行における7年間の変革を見届けた後、最高経営責任者(CEO)としての役割を追求している。
「当行は業績不振と投資家の信頼低下から、記録的な業績へと変貌を遂げた」とフォン・モルトケ氏は先月ドイツ銀行が公開したポッドキャストのインタビューで語った。「我々は米国の銀行に対抗できる選択肢となることを目指していた。」
フォン・モルトケ氏は2017年にCFOとしてドイツ銀行に入行し、最高経営責任者(CEO)のクリスチャン・ゼーウィング氏と共に、2019年に「Compete to Win(勝利への競争)」と銘打ったリストラ計画を打ち出した。この計画には、株式トレーディングからの撤退、1万8000人の人員削減、投資銀行部門の縮小が含まれていた。2025年までに同行は過去最高益を報告し、株価は2020年の安値から3倍以上に上昇した。
同氏の退任は、欧州の銀行が米国の大手競合相手に対して非対称な競争環境に直面するなか、ドイツ銀行復活の最重要人物を失うことを意味する。地理政治的な変化や人工知能による技術的破壊に業界が対応する中で、フォン・モルトケ氏の次の動きは、別の大手金融機関の経営陣に影響を及ぼす可能性がある。
再建の成功法則
オックスフォード大学で哲学を学んだオーストラリア系ドイツ人のフォン・モルトケ氏は、ドイツ銀行が最も混乱した時期の一つに入行した。同行はちょうど増資を実施し、ある戦略を採用したが、2018年後半に市況が悪化するとその戦略はすぐに機能しないことが判明した。ゼーウィング氏は2018年4月にCEOに就任し、両者は1年かけて信頼を構築した後、2019年7月により抜本的なリストラ計画を発表した。
「我々は意図的に野心的な目標を設定した」とフォン・モルトケ氏は語る。「目標を高く設定すれば、通常はやや届かないものだ。つまり、目標を高く設定すればするほど、野心は大きくなり、全員がそこに到達するために一層懸命に働くことになる。」
この戦略は功を奏した。ドイツ銀行が2025年11月に最新計画を投資家に提示した際、市場はそれを達成可能なものと捉えた。これは、以前の目標に寄せられた懐疑論とは対照的だった。フォン・モルトケ氏はその信頼を勝ち得ることを「長く厳しい闘い」と表現した。
欧州銀行業界の今後
フォン・モルトケ氏の退任は、欧州の銀行が米国の競合相手と比較して、より小規模な利益プール、統合の遅れ、より厳格な規制環境といった構造的不利に直面している時期に当たる。米国は新政権の下で明確な規制緩和路線を打ち出している一方、欧州はまだその姿勢を調整できていない。
「欧州は依然としてこの決断に苦闘している」とフォン・モルトケ氏は述べ、国境を越えた政策決定の制度的複雑さを挙げた。「銀行規制の複雑さゆえに、これらのルールが厳しすぎるのか緩すぎるのかを理解することは、ほとんど誰にとっても非常に難しい。」
フォン・モルトケ氏にとって、次の章はおそらく別の金融機関の指揮を執ることになるだろう。彼のキャリアは危機管理によって特徴づけられてきた。2009年、金融危機の真っただ中にシティグループに入社して再建を支援し、その後ドイツ銀行に移った。「私は常に困難に引き寄せられてきた」と彼は語る。「難しい任務に挑戦したいと思ってきた。」
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではありません。