米イラン和平合意を受けたエネルギー価格下落により、仏伊両国の6月インフレ率はともに予想を下回り、ECBによる追加利上げ観測が後退した。
米イラン和平合意を受けたエネルギー価格下落により、仏伊両国の6月インフレ率はともに予想を下回り、ECBによる追加利上げ観測が後退した。

フランスとイタリアの6月インフレ率は予想以上に鈍化した。米イラン和平合意を受けエネルギー価格が急落し、欧州中央銀行(ECB)に追加利上げを促す圧力が緩和されたためだ。
「6月と比べて追加利上げの必要性は低下した」。欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーでベルギー中央銀行総裁のピエール・ウンシュ氏は25日、こう述べた。
フランスのEU基準消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比2.0%と、5月の2.8%から減速。ブルームバーグ調査の中央値(2.3%)を下回った。イタリアの上昇率は3.2%から3.0%へ低下し、こちらも横ばいを見込んでいた予想を外れた。両国の統計当局によると、減速の主因は石油製品価格の低下だった。
このデータにより、ECBが9月会合で2会合連続の利上げに踏み切る確率は低下した。ただ、政策当局者らは5月のコアインフレ率がなお2.5%と高止まりしていることを警戒している。市場が織り込む今年中の追加引き締め幅は約25ベーシスポイント(bp)と、今回のインフレ統計発表前のより積極的な利上げ観測から縮小した。ユーロ圏全体の6月CPIデータは26日に発表予定で、金利見通しの次の材料となる。
ユーロ圏全域に広がるエネルギー・ディスインフレ
スペインの6月CPIは予想を上回り、電気・都市ガス価格がなお上昇圧力となっており、ディスインフレ局面の不均一さが浮き彫りになった。この乖離はエネルギー構成の違いを反映している。フランスは原子力発電への依存度が高くガス価格変動の影響を受けにくい一方、イタリアとスペインは天然ガス価格に連動する卸電力市場の影響を受けやすい。
6月中旬に成立した米イランの暫定和平合意は原油価格から主要なリスクプレミアムを除去し、ブレント原油は紛争激化前の水準を下回った。この緩和効果は遅れて消費者物価に波及し、特に燃料依存度の高い運輸・暖房分野で顕著となっている。このデータを受け、ドイツ10年債利回りは4bp低下して2.45%に、ユーロは対ドルで0.3%下落し1ユーロ=1.0820ドルとなり、利上げプレミアムの縮小を反映した。
データ次第の岐路に立つECB
ECBのラガルド総裁は25日、6月の利上げ(約3年ぶり)は中銀の最新予測に基づくものだと改めて述べた。同行の予測では、さらなる引き締めがなければインフレ率は2028年まで2%目標を上回る見通しだ。ECBは6月、預金金利を25bp引き上げ、3.75%とした。
ウンシュ氏は7月の行動にはコミットしないとしたものの、データが正当化すれば迅速に行動したいと述べた。「データが追加利上げの必要性を示せば、遅きに失するより早い方が良い」と同氏は語った。ECBの次回政策決定は7月23日、その後9月の会合で最新スタッフ予測が発表される。
変動の大きいエネルギーと食品を除くコアインフレ率は5月に2.5%へと予想外に加速しており、エネルギー主導のディスインフレだけではヘッドラインインフレを持続的に目標水準に引き下げるには不十分である可能性を示唆している。政策当局が二次的影響を注視するサービスインフレは、依然として3%超と高止まりしている。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではない。